日本化学会誌(化学と工業化学)
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負イオン化学イオン化質量分析法の基礎的検討とその微量成分分析への応用
飯田 芳男代島 茂樹
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1989 年 1989 巻 9 号 p. 1487-1503

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抄録

負イオン化学イオン化質量分析(NCIMS)法について,分析花学的立場から行った基礎的検討およびこれ縞感度かつ(または)高選択的な分析方法として実際試料に適した例について述べる。ハロゲン化物を用いた電子捕獲によるNCIでは,ECDとの応答の相関,生成イオン種とイオン量,正負イオンの生成量比などを検討し, 負イオンの生成効率が分子の電子親和力,反応の活性化エネルギーに支配され,それらの値の大小により生成イオン量が1000倍以上も違うことを明らかにした。C1-を反応イオンとする系ではクロロホルムがもっとも使いやすく,またメタンと混合するとイオン化が安定し熱的に不安定な化合物でもそのスペクトルから分子量を容易に推定することができた。多環芳香族炭化水ニトロアレーン,有機ハロゲン系化合物についてメタンを素,ダイオキシンについて酸素をそれぞれ試薬ガスとしたときのNCIスペクトルの特雛明らかにし,それらを高感度・高選択的に検出するためのデータを得た。またそのままではNCI法の適繭瞬なアルコ一ル,フェノール,アミン,カルボン酸アミノ酸などについて種々の含フッ素誘導体化剤による誘導体化を行い,最適誘導体化剤,正負イオン量比などNCI法を適用するために有用な知見を得た。この方法の応用として,環境汚染物質や代謝関連物質を中心測定方法を検討し,実際試料の測定を行った。

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