1989 年 1989 巻 9 号 p. 1504-1511
シクロデキストリン(CyD)を触媒として使用することにより,モノリボヌクレオシドの2',3'-環状リン酸を位置選択的に開裂することに成功した。位置特異性は用いるCyDの種類に顕著に依存し,α-CyDの存在下では,P-O(2')結合の開裂による3'-リン酸の生成が選択的に進行した。それに対し,β-およびγ-CyDはtP-O(3')結合の開裂による2'-リン酸の選択的生成を触媒した。また,α-CyDを触媒としてリボヌクレオチドのダィマーならびにポリマーを開裂すると,酵素リボヌクレアーゼを用いた場合と同様に,末端の3'位にリン酸基をもつRNAフラグメントが選択的に生成した。一方,β-CyDを触媒として用いると,末端の2'位にリン酸基をもつフラグメントが選択的に得られた。さらに,CyDに化学修飾を加えることにより,一層効率的にRNAを開裂することにも成功した。
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