日本化学会誌(化学と工業化学)
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P-トリルおよびP-クロロフェニルエステル類のortho-Fries転位
山本 二郎中根 勲中島 充晴浅野 光弥赤松 宏岡本 勇三杉田 嘉一郎
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1989 年 1989 巻 9 号 p. 1587-1592

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抄録


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クロロベンゼン中塩化アルミニウム(AlCl3)とともに3時間還流するとm=ニトロ安息香酸p-トリル〔4〕のほかは,いずれもFries転位により82%以上の収率で根当する2-ヒドロキシ-5-メチルフェニルケトンが得られた。溶媒として高沸点の塩素置換ベンゼンを用いると,一般に高収率で2-ヒドロキシ-5-メチルフェニルケトンが生成し,反応が短時間で完了した(表1,図ほ1)。一方,p-クロロフェニステル
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を沸騰ペンゼン中4時間Fries転位を行っても,2-ヒドロキシ-5-クロロフェニルケトンの収率は28%以下であった(表2)。
2-ヒドロキシ-5-メチルベンゾフェノン〔10〕と2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル=ベンジル=ケトン〔11〕は,沸騰クロロベンゼン中AlCl3と反応して安息香酸p-トリル1〔1〕とフェニル酢酸p-トリル〔2〕が生成し逆Fries転位が起こったが,他の2-ヒドロキシケトン類からは逆Fries転位が観察されなかった(表3)。〔4〕およびm=ニトロ安息香酸p-クロロフェニル〔9〕は,Fries転位進行中において解離することなく,分子内的に反応が進行すると考えられる(表4)。

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