日本化学会誌(化学と工業化学)
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親水性ならびに疎水性β-シクロデキストリン誘導体によるプロスタグランジンE1の放出制御
上釜 兼人栗原 正目呼平山 文俊
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1990 年 1990 巻 10 号 p. 1195-1199

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抄録

アルキル化β-シクロデキストリン誘導体[ヘプタキス(2,6-ジ-O-メチル)-β-シクロデキストリン(DM-β-CyD), ヘプタキス (2,6-ジ-O-エチル)-β-CyD (DE-β-CyD)] を用いて,プロスタグラソジンE1(PGE1)の安定性の改善と錠剤からの放出速度の制御を企図した。PGEユの固体状態における安定性はCyD複合体化により向上し,その効果はDE-β-CyD≦ β-CyD<DM-β-CyDの顧であった。錠剤からのPGE雲の放出速度は,複合体の溶解性を反映して,β-CyDまたはDM-β-CyD複合体化により促進され,一方,DE-β-CyD複合体化により抑勧された。また,PGE,単独錠の放出速度は溶出液のpHの影響を受けたが,複合体錠の場合はpH依存性は小さかった。速放出性のDM-β-CyD複合体と徐放姓のDE-β-CyD複合体を組み合わせたマトリックス錠ならびに二層錠を調製し放出制御を試みた結果,二層錠からの放出挙動は速放部と徐放部の放出速度の和として観察され,一方,マトリックス錠はゼロ次に近い放出パターンを与えた,これらの結果は,親水性と疎水性のCyD複合体を混合使用することにより,薬物の放出速度を任意に鯛御可能なことを示唆した。

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