日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
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多孔質ガラスの表面状態とその化学修飾
今田 清久坂上 勝伺川端 裕入堤 信夫中島 忠夫信原 一敬
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1990 年 1990 巻 4 号 p. 407-414

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抄録

アルミニウムを含む多孔質ガラス(SPG)の表面はより高純度のホウケイ酸ガラスの多孔体(CPG)より水を吸着しやすい。SPGを熱した酸で洗浄することによりアルミニウムのかなりの部分を抽出することができる。アルミニウムの量を低減したSPG,およびCPGあるいは比較のために用いたシリカゲルを高度に除湿した空気の流通下で500℃ 以上に加熱すると,これらの試料の赤外吸収スペクトルの波数3750cm-1に鋭い吸収が観測されるようになる。これは「孤立型シラノール基」と呼ばれるガラス表面のヒドロキシル基の構造に帰せられている。CPGにおいてはとのような脱水試料は急速之水分を再吸着することがないが,SPGにおいては水分の再吸着が起こる。脱水試料にアミノアルキル基をもったシランカップリング剤を作用させて得た多孔体のアミノ基担持量はGrsinがMerrifield法のアミノ化ポリメチレン担体について行ったピクリン酸を吸脱着させる方で定量することができる。これを多孔体の表面積あたりにすると,SPGにっいてもCPGにっいても2μmol-2程度になる。この表面密度は多孔体を加熱した際に孤立シラノール基の脱離温度とされる600~800℃ の問で脱離する水分子の表面積あたりの量,3.5~4・5μmo1・m-2と岡じ程度の値であり,二つのシラノール基から1水分子が脱離すると仮定すれば,予想されるシラノール基の量の約1/3のアミノアルキル基が結合したことになる。

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