日本化学会誌(化学と工業化学)
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溶媒抽出法によるバイヤー液中のガリウムの回収
松田 公昭越智 賢二
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1990 年 1990 巻 4 号 p. 415-420

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抄録

7-[1-(2, 2, 4, 4-tetramethylpenty1)-2-propeny1]-8-quinolinol (KELEX) のケロシン溶液により,バイヤ汀法アルミ才製造プロセろのアルド叱酸ナトリウム水溶液(バイヤー液)中に溶存するGaを抽出回収する検討をした。KELEXに対して大過剃のGaおよびA1を溶存する系では,[KELEX/抽出(Ga+Al)]=3モル比の配位形態をとった。GaのAIに対する選択抽出係数K〓は112であるが,バイヤー液中のA1濃度が,Ga濃度の300~2100倍モル大きいために,Gaの3~18倍量のAlを同時に抽出する。抽出したGaおよびA1は,0・75mo1・dm-3以下の塩酸によりAIのみを,次いで1.5mo1・dm-3以上の硫酸でGaを逆抽出する方法で,GaとAlの分別回収が出来る。KELEXは,アルカリ空気雰囲気下の使用で劣化するため,抽出操作は,不活性雰囲気下で行わなければならない。劣化速度定数(K)は,K=11.67e-1955/Th-1であった。KELEX/ケロシソの二成分系では,Gaの抽出速度が遅く,抽出平衡到達に約1時間要しかつ抽出後のバイヤー液との分液性も悪かった。抽出助剤としてα-位置に2個のアルキル側鎖をもつ脂肪酸を併用することで5分以内の抽出平衡到達が,1-デカノール併用で速やかな分液が可能となった。

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