日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
非晶質メタタングステン酸アルカリ金属塩の合成と物性
出来 成入永田 員也大村 浩之嶋田 幸雄河村 浩梶並 昭彦金治 幸雄
著者情報
ジャーナル フリー

1990 年 1990 巻 6 号 p. 615-620

詳細
抄録

プロトン型-陽イオン交換樹脂を用いて調製したメタタングステン酸アルカリ金属(Li+,Na+,K+)塩水溶液を急速脱水することにより,試料を合成した。得られた試料は,X線的に非晶質であった。これら試料に対して,X線回折,熱分析(DSC),IR吸収スペクトル,水素濃淡電池起電力法によるプロトン輸率,Wagner直流分極法による電子輸率,および交流電気伝導度測定などを行った。その結果,これら試料のプロトン輸率(tH+)が飽科水蒸気圧下でTH+=1,また電子輸率が10-3以下となった。以上の結果からこれら試料の導電種が,プロトンであることが明らかとなった。非晶質試料の電気伝導度は,Li+塩の場合,結晶試料の約102倍程度の値を示した。また電気伝導度は,対陽イオンの種類および含水量に依存していることが明らかとなった。これら試料の構造中では,結晶試料にくらべ水の構造性が低下しており,イオ-水聞相互作用の弱い水分子が多く存在することが明らかとなった。

著者関連情報

この記事は最新の被引用情報を取得できません。

© The Chemical Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top