日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
乳凝固物のレオロジー的性質
井筒 雅東 雅幸木村 利昭福島 正義
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1990 年 1990 巻 6 号 p. 621-627

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抄録

繊維状に裂くことのできる構造を持ったチーズは,Mozzarella チーズを製造する過程から得られる。すなわち,乳凝固物(ヵ-ド)を温水中で50~60℃ に加熱し,流動性のある状態で静かに混練して均質な粘弾性体にした後,一方向に延伸して直ちに冷却水中で硬化することにより製造する.従来,繊維状の構造を付与し,冷却硬化する工程は手作業に依存していた。繊維状に裂くことのできる構造を持ったチーズの製造を工業規模で機械化する目的で,カードのレオロジー的性質を延伸,成形f硬化との関連で検討した。カードのYoung率,粘性率は温度によって顕著に変化することから,このチーズの製造では,温度は極めて大きな制御因子であることがわかった。カードは35℃ 以下では流動性を失って硬化することから,この温度以上で成形工程を完了している必要がある。50℃ 以上のカードには降伏値は認められず,また50~60℃ の温度範囲ではNewton流動に近い挙動をする。カードのPoiSSon比は約0.5であり,剛性率(G),伸び粘牲率(λ)は三倍則を適用して算出できる。

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© The Chemical Society of Japan
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