日本化学会誌(化学と工業化学)
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ピリジン環を有する非環状ジアミド化合物の合成とその遷移金属イオン輸送能
堂野 礼三大淵 真一三浦 智弘加世田 定道白子 忠男
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1990 年 1990 巻 6 号 p. 676-681

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抄録

種々の非環状ジアミド化合物L1,,L2,L3および転を合成し,こ流らを配位子として遷移金属イオくン(Co2+.Ni2+.Cu2+.Zn2+)の溶媒抽出ならびに液膜輸送を脂溶性の対陰イオン(ピクリン酸イ,オン,C104-)の共存および非共存系について行い金属イオンの輸送能を検討した。L2はC104-存在下,pHが約3~5.3の範囲でCu2+のみを選択的に抽出し,他の遷移金属イオンはほとんど抽出されない。さらに・脂溶性の大きなピクリン酸イオン共存下ではCu2+の袖出率は増大したが,脂溶性の対陰イオンが共存しないCuC12単独の溶液ではCu2+を抽出しない。また,L4についてもピクリソ酸イオンおよびCIO4の共存下ではL2の場合とほぼ同様の結果が得られ,L2,L4はともにCu2+に優れた選択性を示すことが認められた。しかしL4ではCuC12単独の溶液においてもCIO4-共存系と同程度めCu2+を抽出し,ま・た平衡状態におけるCu2+の輸送率は90%以上になる.一方,L4の水-メタノール溶液にCuC12を添加するとpHがいちじるしく低下するが,L2ではこの様な現象は見られず,L4はアミド水素を解離してCu2+と非イオン性錯体を形成していることを示唆している。

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