日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
9-(2-ジメチルアミノメチルフェニル)フルオレンの配座平衡ならびにそれらにおよぼす酸の効果
西田 晶子竹下 誠原田 敏直藤崎 静男梶返 昭二
著者情報
ジャーナル フリー

1990 年 1990 巻 9 号 p. 945-948

詳細
抄録

9-(2-メチルフェニル)-9-フルオレノール1を出発原料として,数段階を経て9-(2-ジメチルアミノメチルフェニル)フルオレン4および9-(2一ジメチルアミノメチルフェニル)-9一フルオレノール5を合成した。これらは室温においてSP体が優勢配座であるごとが判明した,つぎに4のCDC13溶液にトリフルナロ酢酸を少量ずつ添加したところ4の塩が生成し,優勢配座がSPからapへと変化した。生成した4-ap塩はN-H… π 相互作用により安定化しているものと推定した。4のこの相互作用が9-(2一ジメチルアミノフェニル)フルオレン6のそれとくらべて強いことを,4のジメチルアミノメチル基の塩基性が6のジメチルアミノ基の塩基性より強いことから説明した。また酸としてトリフルオロ酢酸のほか酢酸を用いて,4塩の配座平衡におよぼす酸の強さの影響を調べたところ,弱酸の酢酸ではその平衡も ap/sp=7/3を限度とすることが判明した。

著者関連情報

この記事は最新の被引用情報を取得できません。

© The Chemical Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top