1991 年 1991 巻 10 号 p. 1438-1442
磨砕メカノケミカル反応を利用したBi系超伝導材料の生成におよぼす影響を検討するために,Bi2O3-CuOの混合物を擂かい機で磨砕した場合の変化ならびに磨砕物を熱処理した場合の反応過程と生成物についてDTA-TG,X線回折,質量分析およびIRを用いて検討した。
磨砕しない混合物は700℃ 以上でないとCuBi2O4の生成は認められないが,混合物の磨砕生成物を加熱すると,5時間磨砕でも360℃ 付近でわずかながらCuBi2O4の生成が認められ,磨砕時間が長くなるにしたがってその生成量は増加することが明らかになった。
磨砕により,Bi2O3は空気中のCO2と反応してBi2O2CO3を生成し,CuO粒子は微細化し,結晶はひずみを生じ,表面はわずかながら塩基性塩が生成していることがあきらかになった。
磨砕によって生成した炭酸塩,塩基性塩などが熱処理により活性な化合物を生ずるとともに,磨砕による瞬間的な摩擦熱と活性面の発生により非結晶質前駆体を生成した結果,CuBi2O4の生成を容易にしたと考えられた。
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