日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
潤滑油用耐熱性アルカリ清浄添加剤の開発
堀 敬上田 早苗
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1991 年 1991 巻 12 号 p. 1569-1581

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抄録

内燃機関の潤滑系に必要不可欠なアルカリ清浄添加剤の中で特に耐熱性に優れている“過塩基性硫化カルシウムフェネート” ならびに類縁の“硫化カルシウムサリシレート” の最近の技術動向について,著者らの研究を中心にまとめた。
“硫化カルシウムフェネート” の製造法は,基本的には硫化工程と過塩基化工程とから構成されるがジ検討の重点は後者に移っている。従来,過塩基化のためには,アルキルフェノール当たり大過剰のカルシウム試薬を配合するのが常識となっていたが,その逆の方法も開発されて来ている。“硫化カルシヴムサリシレート” の製造法は,基本的にはカルボキシル化工程と硫化工程とから構成されるが,従来,後者に主眼を置いた研究が行われてきた。しかし,最近になって新しいカルボキシル化手段が開発され,大幅な工程短縮が可能となってきている。
また,複雑な組成をもつこれらの清浄添加剤の構造に関しては,従来詳細な解明は行われていないが,著者らの知見の一部を紹介する。著者らの開発した“過塩基性硫化カルシウムフェネート” および“硫化カルシウムサリシレート” は,ともに耐熱性などに優れ,またそれらの製造法は特異かつ簡潔なものである。

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