1991 年 1991 巻 12 号 p. 1672-1676
カーボンブラック(CB)は高分子複合材料において補強充填剤や導電性充填剤として広く使用されている。このような粒子分散系高分子材料の物性は,充填剤の体積分率だけでなく分散状態にも大きく依存する。界面エネルギーは高分子マトリックス中の充填剤の分散性を支配する主要な因子の一つである。高分子複合材料中の充填剤の分散性を解析するためには,粒子の表面エネルギーの正確な値が必要である。しかし,CB粒子のような微粉末の表面エネルギーの測定は困難である。本研究では,酸化処理したCB粒子の表面エネルギーをIGC(逆栢ガスクロマトグラフイー)およびESCA(electronspectroscopyforchemicalanalysis)により評価した。IGCから求めたCB粒子の表面エネルギーの分散力成分は,酸化処理によりわずかに増加した。ESCAから求めたCB粒子の表面エネルギーの極性力成分は,酸化処理により大きく増加した。また,本蘇究で求めた分散力成分と極性力成分の和で定義されるCB粒子の表面エネルギーの値は,通常報告されている値にほぼ対応した。
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