1991 年 1991 巻 12 号 p. 1661-1671
夕張炭を電荷移動剤のない条件で還元メチル化し(三宅法,K/THF/CH3I),得られたヘキサン可溶分(HS,9.90%)の構造についてGPC-LC分離とそれに続くGC-MS,NMRおよびIR分析により詳細に検討した。
典型的な反応生成物は,ナフタレン(HSの6.9%),フェナントレン(0.7%),キノリン(0.2%)およびナフタレン二量体の還元メチル化物(O.8%)と,ナフタレンおよびフェナントレンの還元メチル化物のメチルエーテル(1.2%)より成っていた。そのほかに,石炭マトリックスから溶け出した飽和化合物も含まれていた。その化合物は,直鎖バラフイン(HSの5.2%),イソプレノイドバラフィン(O.9%),二環式モノテルペン(1.5%),三環式ジテルペン(1.6%)と五環式トリテルベン(1.4%)を含むバイオマーカーから成っていた。
この還元メチル化物を,Sternberg法(K/THF/ナフタレン/CH3I)により得られたものと比較した。Sternberg法生成物は,電荷移動剤として使用したナフタレン還元二量体で汚染されていることがわかった。還元メチル化物の構造に基づいて,それらの生成機構について考察する。
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