日本化学会誌(化学と工業化学)
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ポリアミン置換メチルホスホン酸残基を持ったキレート樹脂のウラン(VI)吸着特性
松田 公昭秋吉 芳郎
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1991 年 1991 巻 4 号 p. 336-341

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抄録

ポリアミン置換メチルポスホン酸残基を持ったキレート樹脂(APA)の硫酸,リソ酸,海水中のウラン(VI)吸着特性を調べた。比較のためにホスホン酸残基,ウラン(VI)回収用として工業的に使用されている第四級アンモニウム残基を持ったイオン交換樹脂および各種抽出試薬のウラン(VI)吸着性をあわせて調べた。100g・dm-3硫酸,300g・dm-3リン酸,海水の各水溶液中の100mg・dm-3ウラン(VI)濃度におけるAPAのウラン吸着容量は,それぞれ0.2, 0.05, 0.05 mmol・g-1であった。APAのウラン(斑)吸着容量は,ボスホン酸残基を持ったイオソ交換樹脂の海水中ウラソ(VI)吸着(0.2mmol・g-1)を除き他の何れの吸着剤よりも大きかった。APAのウラン(VI)吸着速度は速く,処理時間( t :min )と100g・dm-3硫酸水溶液中のウラン(VI)濃度(y:mg・dm-3)との関係は,次式のように表された。
y = 100.048t+19.0 (0 ≦ t ≦ 30)
APAに吸着したウラン(VI)は,0.03mol・dm-3濃度以上の過酸化水素と0.5mol・dm-3濃度以上の水酸化ナトリウムを含有する水溶液により効率よく溶離できた。APA吸着ウラン(VI)は亜硫酸ナトリウム,ヒドラジンなど還元剤を含むアルカリ性化合物の水溶液でも溶離できたことから,ウラン(VI)のウラン(IV)への還元反応溶離が考えられた。

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