日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
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1991 巻, 4 号
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  • 浦 康一, 橋場 功
    1991 年 1991 巻 4 号 p. 253-260
    発行日: 1991/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    選択性除草剤として,フェノキシプロピオン酸エステルあるいはピリジルオキシプロピオン酸エステルが知られている。著者らはフェノキシあるいはピリジルオキシに代わって縮合ヘテロ環を幅広く検討する中,キノキザリン類の中に細葉雑草の除草に卓効のある,有望な化合物群を見いだした。その中で,キザロホップェチル(コード No. NC-302 )は特に強い効力を持ち,茎葉処理型除草剤として企業化された。その工業化に際し,キノキザリン環部の合成は大きな課題の一つであったが,汎用な原料から合成できる簡単な方法を見いだした。また,キザロホヅプェチルは不斉炭素を持ち,光学異性体が存在するが,その有効成分は(R)-(+)体であり,ラセミ体にくらべて2倍の効果を持つ。(0)0(+)体の製造は,分割法ではなく,光学活性な原料を使いラセミ化させない方法で行っている。また,(R)-(+)体は,ラセミ体とは異なり結晶型が二つ存在する。この分測晶析法が発見され,(R)一(+)体の工業化が可能となった。本論文では,特に光学活性キザロホップエチルと,その重要な中間体である2-(4ヒドロキシフェノキシ)プロピオン酸エチルの製造法について,詳しく述べる。
  • 藤谷 忠博, 越後谷 悦郎
    1991 年 1991 巻 4 号 p. 261-268
    発行日: 1991/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    担体に球状のシリカおよびアルミナを用いたパラジウム触媒の性状と鮪媒活性との関係を検討した。アルミナ担体の場合,テトラクロロパラジウム(皿)酸イオソを前駆体として用いることで高担持率の触媒が調製でき,500℃程度の高温で焼成処理することにより高いベンゼンの水素化活性を示し,パラジウム粒子も高分散することがわかった。シリカ担体の場合はパラジウムアンミン錯体を前駆体に用いることで高担持率の触媒を調製できるが,比活性はアルミナ担体を用いた場合にくらべると 1/3 程度であった。触媒の昇温還元および水素の昇温脱離の結果から,アルミナ担体は酸化パラジウムと強い相互作用を持ち高い水素吸着能を有するが,シリカ担体の場合は酸化パラジウム単独と同様,室温でパラジウム水素化物を生成しシリカ担体と酸化パラジウムとの相互作用は非常に弱く,水素吸着量はアルミナ担体にくらべかなり少ないことが明らかになった。担体とパラジウムの相互作用により担体上に生成するパラジウムの担持状態が異なり,活性に大きな影響をおよぼすことが明らかになった。
  • 持田 勲, 益村 幸喜, 平山 照夫, 藤津 博, 河野 静夫, 後藤 輿研
    1991 年 1991 巻 4 号 p. 269-274
    発行日: 1991/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    17種の活性炭素繊維 (ACF) の排煙脱硫能を140℃固定床流通反応装置を用いて調べた結果,ポリアクリロニトリルから調製した PAN-ACF2種, FE-300, -200, ことに,前者が他の ACFの約 20倍以上,脱硫用活性コークスと比較しても4倍以上のSO2除去能性(破過にいたるまでの時間)を示すことを見いだした。反応条件の脱硫性能への影響ならびに吸着SO2の脱離挙動より,性能は ACF の有効吸着容量により決定され,SO2は ACF 上で硫酸として保持されていると結論できる。 ACF間の性状の比較および上記のSO2吸着機構から,表面に適当な疎水性および酸化能を与える官能基構造,および速い吸着を許容する適切な細孔径を兼備した高表面積の実現が性能向上の重要な手がかりとなることが示唆された。
  • 外薗 聡子, 永井 秀明, 加藤 昭夫
    1991 年 1991 巻 4 号 p. 275-280
    発行日: 1991/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    尿素を用いた均一沈殿法によりアルミニウムとマグネシウムの硝酸塩あるいは硫酸壇からスピネル(MgAl2O4)組成の沈殿物を合成した。原料溶液は[Al3+]=0.1mol・dm-3, [Mg2+]=0.05~ 0.2mol・dm-3, [urea]=1.8mol・dm-3 , 溶液総量 250ml, 溶液 pH=2 (室温)とし,温度 90℃で合成を行った。尿素の加水分解により溶液の pH が上昇して,まず Al2O3 水和物が沈殿し,それの終了する3時聞以降徐々に MgO 成分が沈殿した。硝酸堪混合水溶液からは擬ペーマイトと複水酸化物の混合物が得られ,硫酸塩混合水溶液からは球状Al2O3水和物粒子上に MgO 成分が析出したものが得られた。両粉体とも800℃,空気流中,1時間の熱処理でスピネル単一相となった。
  • 福井 俊巳, 桜井 千尋, 奥山 雅彦
    1991 年 1991 巻 4 号 p. 281-285
    発行日: 1991/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ゾルゲル法によりコーディエライト(2MgO・2Al2O3・5SiO2) の合成を行った。各成分アルコキシドの反応により複合アルコキシドの合成を行い, その加水分解により前駆体ゲルを作製した。比較として, Mg と Al の硝酸塩水和物の結晶水による Si アルコキシドの加水分解,および各成分のゾルの混合を検討した。これらの前駆体ゲルの化学構造の加熱変化と結晶化挙動を赤外分光法と粉末X線回折法を用い調査した。3種のゲルは前駆体構造(シリカ網目構造へのAIの挿入状態)に差が見られ,異なる結晶化挙動を示した。複合アルコキシドから合成したゲルは,今回合成した前駆体の中で最も低い1050℃で1時間の加熱処理でα-コーディエライト単相となった。これは,複合アルコキシドを用いることにより,ゲル段階で各成分の均一化がなされるとともに,より多くのA1原子がシリカ網目構造中に導入されたためと考えられる。
  • 相沢 省一, 鈴木 正義, 赤岩 英夫
    1991 年 1991 巻 4 号 p. 286-292
    発行日: 1991/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アラブ首長国連邦 Abu Dhabi 市近郊のサブカ (sabkha) で生成する現世炭酸塩堆積物 (層厚2~3m) の化学組成の特徴から,同地域の地下約 10m 以下に堆積するドロマイト (クカイ石) の生成環境を解明した。現世のサブカ堆積物は Arabla 湾の浅海に堆積する炭酸塩堆積物に比較して, Sr, SO4 およびF(以下,とくに必要な場合を除いて電荷は省略する)に富み,海水の蒸発がいちじるしい環境での炭酸塩鉱物の生成を示している。一方,サブカ現世堆積物は Arabia 湾浅海炭酸塩堆積物よりも低 PO4 含量であり, Pの起源は海水ではなく,砕屑性のケイ酸塩鉱物と考えられる。サブカ地域の地下10m以下に堆積するドロマイト中の上記化学成分は含量および挙動がサブカ現世堆積物中のそれらと類似しており,ドロマイトが現在のサブカと同様な環境で生成したことを示している。またドロマイトの結晶度から,その生成年代は中期更新世以前と推定される。
  • 小州 信明, 中村 彰, 佐藤 博光, 屠上 喬, 山本 穆彦, 松尾 茂樹
    1991 年 1991 巻 4 号 p. 293-303
    発行日: 1991/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    海鞘類に濃縮されている金属元素を特定するために,誘導結合プラズマ発光分光分析法を用いて,AI,Ba.Ca,Cd,Ce,Co,Cr,Cu,Fe,Hf,La,Mg,Mn,Mo,Nb,Ni,P,Pb,Sc,Sr,Ta,Ti,V,W,Y,Zn,Zrの27元素を選び04種の海鞘類を最大9組織に分け,同一試料からの分析を試み・各組織の元素含有量を調べた。さらに,海鞘類のえさと考えられる2種のプランクトン(またはネクトン)についても,同じ分析を行った。その結果マボヤ(Halocynthia roretzi),シロボヤ(Styela plicata)およびカラスボヤ(Pyura uittata)の各組織には,本報告で分析された元素の中では, V,Nb,Ta などの元素の濃縮は認められなかったが,マミラータ(Phallusia mammillata)には,Vが組織によって 190~810μg/g乾燥重量濃縮されていることがわかった。この分析に先立ち,分析手順を検定するために,国立環境研究所(旧公害研究所)の海産生物標準試料 NIES No.6 ムラサキイガイを分析した。保証値,参考値の報告されている元素では, Cr,Co に問題はあるが, Ca,Zn (5%以内の精度), Cd,Cu,Ni,Fe,Mg,Mn,Pb,Al,P,Sr は,1ケタの精度・確度の分析には十分耐えられることがわかった。また,これら以外の元素については,濃縮元素として重要だと思われる 100μg/g 乾燥重量程度の添加回収率の測定により,このレベルでは十分に分析が可能であることを確認した。
  • 渡部 英雄, 相原 将人, 木卜 光夫
    1991 年 1991 巻 4 号 p. 304-307
    発行日: 1991/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    キサントゲン酸塩類を用いる微量スズの溶媒抽出/誘導結合プラズマ発光分析法について検討した。スズーキサントゲン酸錯体は酸性溶液中から抽出され,最適なpHは0。2~1.5であった。抽出試薬は,プロピルキサントゲン酸カリウムが0。06mol以上0.3molまで一定の抽出率を示して最適であった。また10・0,30.0および50.0μ9のスズをとり,それぞれ10回の定量をくり返した結果,相対標準偏差はL3~1.7%であり,定量精度は良好であった。本法でアルミニウム合金中のスズの定量を行った結果,分析値は保証値とよく一致しており,満足すべき結果が得られた。
  • 小野 勲, 山本 敦子, 星 敏彦, 大窪 潤, 小林 遽夫, 井上 廣保, 桜井 忠光
    1991 年 1991 巻 4 号 p. 308-311
    発行日: 1991/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ピクリン酸の XPS の N1s 帯は 404.4 と 400.5eV に観測され,その強度比は 2:1 である。強度の強い 404.4eV 帯はか位とねじれた p-位のニトロ基に, 400.5eV 帯はベンゼン環とほぼ共平面にあるo-位のニトロ基に由来する。両帯のエネルギ.__.差は 3.9eV と極めて大きな値になり,これらのニトロ基が,互いにいちじるしく異なった状態におかれていることがわかる。ピクリン酸トリエチルアンモニウム塩の場合には,3個の N1s 帯が 404.3, 402.5 および 399.8eV に観測され,その強度比は 2:1:1 である。強度の強い 404.3eV 帯は p-位およびねじれた o-位のニトロ基に, 399.8eV 帯は o-位のニトロ基に由来する。また, 402.5eV 帯はトリエチルアンモニウムィオンの N1s に帰属される。幾つかのトリエチルアンモニウム塩について,カチオンの N1s イオン化エネルギーと対アニオンの大きさとの関係を検討した。対イオンがCl-からピクリン酸アニオソ,テトラシアノキノジメタソラジカルアニオソの順にイオン半径が大きくなるにつれて,アンモニウムイオンの N1s のイオソ化エネルギーは 401.5, 402.5 および 404.2eV といちじるしく高エネルギー側に移行する。この理由は次のように説明される。アニオンの半径が大きくなるにつれて両イオン間の平均距離iが増大し,カチオンからのイオン化に対するアニオンの電子によるしゃへい効果が減少し,その結果,カチオソの N1s のイオン化エネルギーが増大する。
  • 村本 慶博, 朝倉 英行, 鈴木 仁美
    1991 年 1991 巻 4 号 p. 312-315
    発行日: 1991/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    HPLCの標品を得るためにエチルベソゼン-3-スルホン酸8をつぎの方法で調製した。2-アミノエチルベンゼン9から,アセチル化,ニトロ化,加水分解,脱アミノ化および還元を経て,3-アミノエチルベンゼン14を得た。ジアゾ化後 SO2 と銅で処理してスルフィン酸15に導き,壇素でスルポニルクロリド16に変換し,さらに加水分解して8を得た。エチルベソゼンスルホン酸の 2-2,4-3 および3-異性体8は,0.1M KH2PO4-MeOH系のHPLCでこの順序で溶出した。エチルベンゼン1を98%硫酸を用いて20~120℃のいくつかの温度でスルホン化し,得られるスルホン酸混合物をHPLCで分析した。その結果,生成物2と3のほか,0.3~3.8%の8とジスルホン酸の存在を認めた。
  • 石井 裕子
    1991 年 1991 巻 4 号 p. 316-320
    発行日: 1991/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ホウレソソウを水中で煮沸して含まれているシュウ酸カルシウム結晶の量,形態および結晶構造の変化を検討した。ホウレンソウを水で20分間煮沸して非結合性シュウ酸を抽出し0.1M塩酸中に一夜浸漬して全シュウ酸を抽出してそれぞれイオンクロマトグラフ分析して定量し,単位重量当たりの両者の含有量の差からシュウ酸カルシウムの含有量を求めた。実験に使用したホウレンソウ100g中に非結合性シュウ酸は730mg,全シュウ酸は912mgと実測され,シュウ酸カルシウムは二水和物として339mgとなった。さらにホウレンソウを長時間煮沸して抽出されるシュウ酸を定量し,全シュウ酸との差から煮沸後残存するシュウ酸カルシウム量を求めた。シュウ酸カルシウムは煮沸1時間後からわずかずつ減少し,約4時間後から減少速度が増加し,8時間煮沸すると約26%が消失した。ホウレソソウを煮沸する間に葉の中に存在するシュウ酸カルシウム結晶は表面からわずかずつ溶解し,まず微細な穴が生じ小さなき裂が現れ,数時間以上煮沸すると凝集体の構成粒子の結合部分が溶解し始め,別に再結晶と転移により小さなシュウ酸カルシウム一水和物の結晶が元の結晶表面に現れた。X線回折分析によれば,煮沸前ほとんど二水和物であったシュウ酸カルシウム結晶は8時間煮沸した後にはその約50%が一水称物に転移していた。
  • 熊沢 増治, 服部 滋, 中原 久恵, 衣笠 晋一
    1991 年 1991 巻 4 号 p. 321-325
    発行日: 1991/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    クロロメチル置換ポリスチレソ(CMS,クロロメチル置換度 : フェニル基の6%)にリピングポリスチレンをグラフトした2種類のくし型ポリスチレソを分取用GPCにより3区分に分別し,さらにこれらの分別区分に対して同様の第2回目の分励を行った。これらの得られた試料に対して,テトラヒドロフラソ(THF)を溶媒とするGPC-LALLSによる重量平均分子量(Mw)の測定,固有粘度[η]の測定を実施し,分岐比, Universalcalibration, log[η]-log Mwの関係を求めくし型ポリスチレソのキャラクタリゼーションについて検討を加えた。溶媒中の高分子の静的な広がりを示す分岐パラメーターσは同一分子量の分岐高分子と線状高分子の二乗平均慣性半径の比 g=g=<S20b>/<S20>1によって表されるが,今回は Casassa-Berry の式から求めた。また,高分子の流体力学的挙動と関係する分岐パラメーターGは同一分子量の線状高分子と分岐高分子の固有粘度の比G=[η]b/[η]1から求めた。この両者の関係 G=gb から指数bを算出した。
  • 中原 久恵, 服部 滋, 鎌田 俊雄
    1991 年 1991 巻 4 号 p. 326-330
    発行日: 1991/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ゲル炉過法によるポリ(アクリル酸アンモニウム)の分別と分子量の測定法を組み合わせてポリ(アクリル酸アンモニウム)の直接キャラクタリゼーションを行った。ゲル炉過にはトヨパールを用い,溶離液は0.2Mリン酸緩衝液を用いた。溶出溶液の光散乱測定から得られた各分別区分の重量平均分子量MW,溶液中でのひろがりRG,粘度測定から得られた固有粘度[η],は溶出順序にしたがって低下していることから,分子径によってポリ(アクリル酸アンモニウム)の分別が行われていることがわかった。また,分析用GPC測定から各分別区分のピーク位置を求め,GPC校正曲線を作成し,各分別区分の分子量分布を求めてMWと数平均分子量Mnとの比MW/Mnを得た。その結果各分別区分は・未分別試料と比較してかなり分子量分布が狭いことが確かめられた。特に分別の前半に溶出した区分ではMW/Mn < 3とかなり狭い区分が得られた。ゲル炉過法による分取実験と各区分の分析用Gpc測定を3回くり返して行い,分取実験の良好な再現性が得られた。
  • 林 拓道, 岩崎 孝志, 小野寺 嘉郎, 鳥居 一雄
    1991 年 1991 巻 4 号 p. 331-335
    発行日: 1991/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    地熱水からのホウ素採取を目的に水和酸化セリウムを合成し,得られた合成物について25~200℃の温度範囲におけるホウ素吸着性を検討した。25℃におけるホウ素吸着量は試料の比表面積に比例し,単位表面積当りに換算したホウ素吸着量と平衡濃度との関係は,試料によらず一本の Freundlich 吸着等温線で近似された。100℃を越える高温水中では,ホウ素吸着量は温度の上昇にともない増加する傾向が見られ,これに対応して吸着後の試料における1470cm-1のヒドロキシル基の赤外吸収強度の減少が観測された。高温水中では,ヒドロキシル基の解離が進み,ホウ酸イオソとの陰イオン交換反応が促進されたものと推定される。吸着されたホウ酸イオンは希アルカリ水溶液により脱離可能であることから,水和酸化セリウムは高温熱水用ホウ素吸着材としての利用が期待される。
  • 松田 公昭, 秋吉 芳郎
    1991 年 1991 巻 4 号 p. 336-341
    発行日: 1991/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ポリアミン置換メチルポスホン酸残基を持ったキレート樹脂(APA)の硫酸,リソ酸,海水中のウラン(VI)吸着特性を調べた。比較のためにホスホン酸残基,ウラン(VI)回収用として工業的に使用されている第四級アンモニウム残基を持ったイオン交換樹脂および各種抽出試薬のウラン(VI)吸着性をあわせて調べた。100g・dm-3硫酸,300g・dm-3リン酸,海水の各水溶液中の100mg・dm-3ウラン(VI)濃度におけるAPAのウラン吸着容量は,それぞれ0.2, 0.05, 0.05 mmol・g-1であった。APAのウラン(斑)吸着容量は,ボスホン酸残基を持ったイオソ交換樹脂の海水中ウラソ(VI)吸着(0.2mmol・g-1)を除き他の何れの吸着剤よりも大きかった。APAのウラン(VI)吸着速度は速く,処理時間( t :min )と100g・dm-3硫酸水溶液中のウラン(VI)濃度(y:mg・dm-3)との関係は,次式のように表された。
    y = 100.048t+19.0 (0 ≦ t ≦ 30)
    APAに吸着したウラン(VI)は,0.03mol・dm-3濃度以上の過酸化水素と0.5mol・dm-3濃度以上の水酸化ナトリウムを含有する水溶液により効率よく溶離できた。APA吸着ウラン(VI)は亜硫酸ナトリウム,ヒドラジンなど還元剤を含むアルカリ性化合物の水溶液でも溶離できたことから,ウラン(VI)のウラン(IV)への還元反応溶離が考えられた。
  • 円満字 公衛
    1991 年 1991 巻 4 号 p. 342-345
    発行日: 1991/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The dependency of the difference electronic spectrum of copper chlorophyllin (Cu-chin) on concentration was observed and it was found that a part of Cu-chin in aqueous solution dimerizes above 10-3 mol⋅dm-3. The center-center distance in this dimer is estmated to be 10.4 A and angle formed by Cu-chin planes to be 155°. The low temperature ESR spectrum of Cu-chin indicated that Cu-chin chagnes to polymer in aqueous solution but does not in 5% ethanol solution.
  • 円満字 公衛, 高橋 健造
    1991 年 1991 巻 4 号 p. 346-348
    発行日: 1991/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    It was found that Methylene Blue (MB) in dimethyl sulfoxide (DMS0) was reduced in dark even by cyclodextrin (CD), a-tocopherol and poly(vinyl alchol). The reduced product determined by means of the thin layer chromatography is a leuco Methylene Blue. The fading rate in dark depends on the degree of saponification of PVA, or on delocalization energy of tocopherols, and is retarded by addition of water, glycerol or urea in MB-DMSO-PVA system.
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