日本化学会誌(化学と工業化学)
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3-フェニル-5-メルカプト-1,3,4-チアジアゾリジン-2-チオン-セレン(IV)錯体の活性炭捕集/黒鉛炉原子吸光分析による水試科中のセレン(IV)および(VI)の定量
奥谷 忠雄久保田 敏雄杉山 伸夫鶴田 保博
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1991 年 1991 巻 5 号 p. 375-379

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抄録

水試中の極微量セレンを濃縮する目的で, 3-pheny-5-mercapto-1 ,3,4-thiadiazole-2(3H)-thione カリウム塩(ビスムチオールII)によるセレン(IV)ビスムチオールII錯体を活性炭に吸着して分離する方法について研究した。さらにこの活性炭を水に分散させた懸濁液を直接黒鉛炉に導入してセレン量を求める簡易で迅速な定量法を確立した。セレン(IV)は 1 .5M 塩酸酸性でビスムチオールIIと定量的に錯体を生成して活性炭に吸着される。この条件下でセレン(VI)はビスムチオールIIと反応しないが,臭化カリウムの存在でセレン(IV)に容易に還元されるので,分別定量できる。天然水中に含まれる程度の共存イオンは妨害せず, 試料水100~1000cm3中の0.5μg以下のセレンが定量的に捕集できた。本法によるセレンの定量下限(S/N=3)は0.02μg/1000cm3で,0.25μg/100cm3について行った相対標準偏差(n=6)は3~4%であった。 本法は簡易,迅速な定量法であり,水試料のセレン(IV)およびセレン(VI)の分別定量に適用し満足する結果を得た。

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