日本化学会誌(化学と工業化学)
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銅ゼオライト触媒による一酸化窒素の除去
岩本 正和八尋 秀典水野 哲孝
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1991 年 1991 巻 5 号 p. 574-583

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抄録

銅イオン交換ゼオライトが一酸化窒素の直接分解反応および選択還元反応用の触媒として優れていることを見いだした。本触媒上での一酸化窒素の直接分解能を調べ,(1)種々の銅イオン交換体の中でも銅イオン交換ZSM-5-ビオライトが最も活性が高いこと,(2)ZSM-5中に化学量論以上の銅イオンを担持でき,銅イオン交換率の増加とともに活性が増大すること,(3)交換時にアンモニアを添加すると迅速に高交換率の銅ゼオライトが得られること,(4)高交換率の銅ゼオライトは高GHSV,高濃度の酸素共存下でも高い分解活性を維持できること,が明らかとなった。この反応の活性点(Cu2+,Cu+)の状態,NO吸着状態,反応機構を赤外,昇温脱離電子スピン共鳴,りん光スペクトルによって検討し,2Cu++2NO→2Cu2+-NO-→2Cu++N2+O2,のサイクルで分解が進行していると考察した・さらに,本触媒上で反応系に炭化水素と酸素が共存すると473-573Kという低温でNO除去活性が飛躍的に向上した。これはアンモニアを用いないNOの選択還元が可能であることを示しており,将来の発展が期待される。

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