1991 年 1991 巻 6 号 p. 736-740
プロトン導電体(アンチモン酸)厚膜を用いた電流検出方式の室温作動型水素センサーについて検討を加えた。センサー素子は,多孔質アルミナ上にスピンコート法により形成した緻密なアンチモン酸厚膜(厚さ約10μm)の上下に,白金を外部および内部電極として取り付けた積層型構造とした。本素子の短絡電流は200~6000ppmの水素に対して濃度に直接比例する応答を示した。その応答速度は,例えぽ1000PPm水素に対して30。Cにおいて約10秒(90%応答)と速かった。外部電極をスパヅター白金から白金黒に変えると電流の方向が逆転したが,これはこれら電極の電気化学的な酸素還元活性の差に起因することがわかった。本素子の電流応答にはかなり大きな湿度依存性が見られたが,測定回路にセンサー素子と直列に外部抵抗を取り付けることにより湿度依存性を大幅に低減できることを見いだした。すなわち,3.3MΩの外部抵抗を付加した場合には応答の湿度依存性はほとんどなくなり,しかも電流値と水素濃度との比例関係はこの場合にも保たれることがわかった。
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