1991 年 1991 巻 6 号 p. 803-810
大気中の揮発性有機塩素系化合物71,1,1-トリクロロエタン,トリクロロエチレン,テトラクロロエチレン,クロロホルムおよび四塩化炭素について,化学イオン化質量分析法(CIMS)を利用する3種の定量方法を確立した。Townsend放電-CIMS法においては,テドラーバッグに採取した大気試料は不活性のキャピラリー(0.25mm i.d.×1m)により直接イオン源に導かれ,各成分は主に空気中の酸素から生じた反応イオンO2+との電荷交換反応,あるいは電子捕獲反応によりイオン化される。この方法では上の化合物中初めの3成分を,それぞれ(M-Cl)+(m/z 97),M+ (m/z 130),M- (m/z 164)の選択イオン検出法(SIM)により同時検出した。検出下限は0.5~1ppbであった。電子の解離共鳴捕獲反応によって生じる壇化物イオンCl-をSIMによって検出するGC/MS法では非濃縮法およびfienaxGCと活性炭による捕集濃縮法について検討し,5成分の検出を行った。検出下限は非濃縮法は0.01~0.1ppbで,濃縮法ではさらに半けた程度低かった。これらの方法を屋外,屋内の各所あるいはクリーニング店内などの空気の測定に適用し,汚染の現状を把握した。
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