佐賀市における降雨の化学成分について検討した。測定した化学成分はpH,硝酸態窒素,亜硝酸態窒素,アンモニア態窒素,およびナトリウム,カリウム,カルシウム,マグネシウム,亜鉛,塩化物,硫酸の各イオンと電気伝導率である。採水は1日分ずつ行った。佐賀市内において1989年1年間のpHは4.00~5.90で算術平均値は4.87であり,雨量で重み付けした平均値は5.01であった。佐賀市における降雨の酸性化は硝酸イオン,硫酸イオソが主な起因である。しかし12月は非海塩起源の塩化物イオンが増加し降雨の酸性化に塩化物イオソの影響もあるものと考えられる。佐賀市の硫酸イオソの起源は海塩起源の硫酸イオソが非海塩起源の硫酸イオンより多いときが全試料中の58%であった。
佐賀市の降雨中の陽イオン,陰イオソのそれぞれの総当量は(約86μeq.dm-3)全国平均として先に報告されている値(約135μeq・dm-3)より低い。また酸性度ポテンシャル([NO3-]+[SO42-]nss)も全国平均より低い。非海塩起源の硫酸イオソの濃度は低く,酸性度ポテンシャルと中和ポテンシャル([NH4+]+[Ca2+]nss)との差が低くなりその結果pHが他の都市にくらべ高くなっている。
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