日本化学会誌(化学と工業化学)
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3-ブテン酸アルカリおよびアルカリ土類金属塩の固相での熱オリゴメリゼーション
工藤 昌章成智 聖司阿久津 文彦三浦 正敏
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1992 年 1992 巻 11 号 p. 1349-1355

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抄録
3-ブテン酸アルカリおよびアルカリ土類金属塩の固相での熱反応において二,三および四量体を与えた。熱反応生成物をメチルエステルに誘導し,単離した結果ナトリウム塩の225℃,2時間の反応では主としてdimethy1(E)-2-octenedioate(5-Me),dimethyl(E)-5(methoxycarbonylmethy1)-2-decenedioate(6-Me),dimethyl(E)-5,7-(dimethoxycarbonylmethyl)-2-dodecenedioate(7-Me)が得られ,転化率はそれぞれ13.1,18.4,22.2%であった。これらのオリゴマーはいずれも3-ブテン酸から由来している。しかし2300℃,2時間では4種の二量体dimethyll-hexene-3,4-dicarboxy-1ate(1-Me),dimethy14-methy1-2-pentene-3,5-dicarboxylate(2-Me),dimethy1(Z)-5-methyl-2-heptenedioate(3-Me)およびdimethy1(E)-5-methyl-2-heptenedioate(4-Me)がそれぞれ28.9,5.6,9.5,17.2%の転化率で得られた。これらの二量体はいずれも3-ブテン酸とクロトソ酸あるいはクロトン酸2分子から生成する二量体である。アルカリ土類金属塩では225℃ 以下では二量体はほとんど生成せず,250℃以上では少量の3-Me,4-Meとともに2-Meが主として得られた。これらの現象はいずれも金属塩の結晶性に依存し,ナトリウム塩ではオリゴメリゼーションが起こっても結晶は保持されるが,アルカリ土類金属壇では加熱により急速に無定形状態になることがわかった。
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