日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
層状複水酸化物一クリストバライト複合体の熱分解物によるイオン性染料の吸着特性
成田 榮一山岸 俊秀兎内 辰夫
著者情報
ジャーナル フリー

1992 年 1992 巻 3 号 p. 291-296

詳細
抄録

層状複水酸化物-クリストバライト複合体を化学処理によって合成し,その熱分解物によるイオン性染料の吸着特性を調べるとともに層状複水酸化物の熱分解物およびクリストバライトの単体の場合と比較検討した。その結果,粉砕したクリストバライトをMgCl,とAICl3の混合水溶液に分散させ,篭細孔内に金属イオンを含浸させたのち,この懸濁液をpH10,温度60℃ に保ちながらNa2CO3水溶液に滴下することにより均質な複合体を得ることができた。この複合体を500。Cで加熱処理した複合吸着剤は,酸性染料のオレンジIIと塩基性染料のメチレンブルーの両方に対して高い吸着能を示した。いずれの吸着等温線もFreundlich式によく適合した。吸着剤全体の単位重量あたりでは,複合吸着剤のオレンジII吸着能は層状複水酸化物の熱分解物よりやや低かったが,層状複水酸化物熱分解物の単位重量あたりで比較すると複合吸着剤の方が2~3倍大きくなった。また,クリストバライト表面の負帯電に基づく複合吸着剤のメチレンブルー吸着能は,層状複水酸化物の複合化によって低下するが,均質な複合体にすることにより低下の程度を小さく抑えることができた。

著者関連情報

この記事は最新の被引用情報を取得できません。

© The Chemical Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top