日本化学会誌(化学と工業化学)
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スルファミン酸を用いる均質沈殿法の静置反応に硫酸鉛(II) 沈殿粒子の粗大結晶生成
鈴木 幸彦鎌田 仁
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1992 年 1992 巻 3 号 p. 282-290

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抄録

硫酸鉛(皿)の緻密で堅ろうな結晶性のよい粗大な沈殿粒子の形成をスルファミン酸を用いる均質沈殿法の静置反応によって行った。この方法によると,生成する沈殿粒子は,低濃度,短時間の反応では10μm以下の薄層菱形板状結晶であるが,沈殿反応が進むと急速に成長し200から300μm以上の肉厚六角板状結晶となる。また,高濃度,長時間の反応で生成する直方八面体形結晶は,230~300μm以上に大きく成長する。これらの肉厚六角板状結晶や直方八面体形結晶は,振り混ぜ反塔で生成する沈殿粒子よりはるかに大きな長径と容積をもつ粗大な単一の結晶粒子である。また,これらの結晶粒子は,凝集体晶,貫入晶や骸晶などが認められない緻密で堅ろうかつ滑らかな結晶表面となっている。この結晶粒子の形態的安定性は,1か月間の室温熟成を行った後,顕微鏡による形態的観察とX線回折分析によった結果,反応直後の形態と回折図形が同様で安定していることがわかった。さらに,ここに生成した硫酸鉛(II)沈殿粒子は,X線回折分析およびエネルギー分散型X線回折分析による表面分析,熱重量分析で純粋な硫酸鉛(II)沈殿粒子であることを確認した。

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