日本化学会誌(化学と工業化学)
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多糖誘導体を骨格としたガドリニウム化合物のMRI用薬剤としての基礎的研究
橋口 裕二世利 重実久保村 幹阿部 由紀子上村 健二藤元 千恵子井口 俊男岩井 久美子
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1993 年 1993 巻 5 号 p. 521-527

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抄録

核磁気共鳴を用いた断層診断法(MAgnetic Resonance Imaging, 以下MRIと略記する)における第二世代の造影剤として,血管内に滞留性を有するガドリニウム化合物についての検討を行った。本目的のために多糖誘導体を骨格とし,二官能性キレート剤を介したガドリニウム化合物を合成した。多糖誘導体は分子量7×103のデンプンおよび3×103のアミロースを酸化開裂した化合物を合成した。二官能性キレート剤としては,N-[2-bis(carboxymethyl)aminoethyl]-N[2-bis(carboxymethyl)amlno-2-(p-benzyl)ethyl]glycineおよび環状骨格を有する新規化合物10-[1Y-(2-アミノエチル)カルバモイル]メチル-α,α',α"-トリメチル-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-三酢酸を合成した。各化合物についてMRI用薬剤の基礎検討として,磁場強度0.5Tおよび1.5Tにおける緩和時間の測定,111In標識体を用いた体内分布の検討および疾患動物を用いたin vivoでの造影実験を行った。いずれの化合物も血管内滞留性が認められ,また速やかに尿中に排泄された。さらに多糖誘導体に結合させることにより緩和効果の向上が認められた。以上の結果から本化合物は第二世代のMRI用造影剤として,有望であることが明らかとなった。

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