1993 年 1993 巻 6 号 p. 734-738
N末端残基として共通してサルコシンをもった,7種類のアンギオテンシンII類似体を液相法にて合成した。これらの類似体のアンギオテンシンIIの昇圧作用に対するアンタゴニスト活性をラットを用いて測定した。アンタゴニスト活性と分子の立体構造あるいは運動性との関連を知るために,重水溶液中でのH-NNIRスベクトルを200MHzで測定した。得られたピークの帰属はスピンデカップリング法により行った。測定されたHis5ε-CHの半値幅は試料により5-29Hzに広がっていた。ここで,アンタゴニスト活性を示さなかった2種のアナログについて,求められたHis6siε-CHの半値幅は10Hz以下でもっとも小さい値であった。これらの結果からヒスチジンのイミダゾール環は活性のある類似体の立体構造の中で何らかの束縛された状態にあることがわかった。
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