日本化学会誌(化学と工業化学)
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ゾルーゲル法によるセラミックス繊維の合成鉛チタン複アルコキシド溶液の加水分解時の粘度変化とえい糸性
豊田 昌宏浜地 幸生伴野 国三郎
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1994 年 1994 巻 12 号 p. 1118-1126

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抄録

ゾル-ゲル法によりチタン酸鉛繊維めえい糸を試みた。PbTiO3のモル比に対応した酢酸鉛(II)三水和物と,チタンテトラ(イソプロポキシド)溶液をそれぞれ,2-メトキシエタノールの存在下で還流・精製を行い,得られた鉛ジ(アルコキシド),および,チタンテトラ(アルコキシド)を混合し,さらに,還流・精製を行うことによって,鉛チタン複アルコキシド溶液を得た.得られた鉛チタン複アルコキシド溶液を部分加水分解し,ゲル化時間,粘度などの溶液特性とえい糸性を観察した。
本手法により,均一な鉛チタン複アルコキシド溶液が調製できた.得られた鉛チタン複アルコキシド溶液に触媒として酸,塩基,水を添加した場合,酸触媒の場合にゲル化時間が長い,すなわち液の安定性が高かった。また,水の添加による加水分解により粘度調整を行ったところえい糸可能な安定なゾルが得られ,粘度が10ポイズ程度に達したとき,直径10-100μmの薄い黄色の透明PbTiO3ゲル繊維が得られた。このアルコキシド溶液は連続えい糸性を示し,一次元重合体を形成していることが推測された。そしてこの繊維を焼成したところペロブスカイト単一相のPbTiO3繊維となった。

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