日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
3-(2-置換エテニル)グアイアズレンからのシクロペンタ[ef]ヘプタレン誘導体の合成
黒河 伸二
著者情報
ジャーナル フリー

1995 年 1995 巻 1 号 p. 39-46

詳細
抄録

3-(2-置換エテニル)グアイアズレソに塩基を働かせて2種類の反応を観察した.置換基がニトロ基やトリフルオロアセチル基の場合には,ナトリウムメチラートの存在下で二量化反応が起こり,ジヒドロシクロペンタ[ef]ヘプタレン誘導体が生成した.この生成物はギ酸またはトリフルオロ酢酸と処理することにより,容易に4-置換-9-イソプロピル-1-メチルシクロペソタ[ef]ヘプタレンに導かれた.また,置換基がベンゾイル基の場合には,ナトリウムメチラートによっては二量化生成物が得られたが,カリウムt-ブチラートによっては分子内環化反応により9-イソプロピル-1-メチル-5-フェニルシクロペンタ[ef]ヘプタレンが生成した.それに対してアセチル基の場合には,どちらの塩基によっても分子内環化生成物だけを与えた.これらの反応はいずれも,簡便なシクロペンタ[ef]ヘプタレン誘導体の合成法として活用できる.なお,置換基がフェニル基の場合には,二量化反応は観察されなかった.これらの事実に基づいて両反応の経路を考察し,電子求引性の強い置換基では二量化反応が,それほど強くないアシル基では分子内環化反応が起こると結論した.

著者関連情報

この記事は最新の被引用情報を取得できません。

© The Chemical Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top