1995 年 1995 巻 3 号 p. 208-214
有害化学物質であるかp-クロロフェノールの湿式酸化分解反応に対して,種々の貴金属担持アルミナ触媒が分解に及ぼす影響について検討した.分解は湿式酸化反応では,かなり穏やかな条件(反応温度;150℃,酸素量;0.3MPa)で行った.触媒の活性は,Pt>> Pd > Ru > Rh > Ag.の順で,Agを除く他の触媒で正の活性を示した.とくにその効果は,白金担持アルミナ触媒の場合で最も著しく,150℃ 到達30分後でp-クロロフェノールは91%分解され,この時のTOCの除去率は89%であった,次に,白金触媒の担体としてアルミナのかわりに種々の酸化チタンを用いて,その触媒活性について検討した.その結果,結晶形がアナタース型で粒径の小さいものほどp-クロロフェノールの分解およびTOCの除去に優れ,最適な触媒となることがわかった.この分解過程においては,マレイン酸,マロン酸などの様々の有機酸が検出されたが,反応に伴うそれらの濃度変化の結果から,ほぼ完全に二酸化炭素と水に変換されていくことが確認された.分解反応は,ラジカル種による反応と共に,加水分解,脱炭酸などの反応が同時に進行していることが示唆された.
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