日本化学会誌(化学と工業化学)
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ボイラー用水条件下におけるCa2+イオンを捕捉したSirotherm樹脂の熱再生サイクル
渡 俊一林 弘
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1995 年 1995 巻 3 号 p. 215-219

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抄録

薬剤の補充を必要としないボイラー用水の処理方式の一つとして,工業用水レベルの低い濃度のCa2+イオンを含む水について熱再生樹脂の麻用を試みた.実験はSirothermTR-10熱再生樹脂を用いて,模擬的にボイラー用水条件の0.001meq/mlCaCl2溶液(CaCO3換算50PPm相当)で連続通塔実験を行い,20℃ と80℃ の昇温一冷却サイクルを繰り返し,Ca2+の捕捉と脱離を行った.潅水(3000PPmNaCl)を部分脱塩して飲料水レベルの水を得るために開発された熱再生樹脂は,多価イオンが存在すると脱離処理ができにくいとされていたが,ボイラー用水条件のような希薄溶液では,熱再生によりCa2+イオンのような多価イオンが除去できる可能性を見いだすことができた.[RaCOOH+RbN]形熱再生樹脂の最初のCa2+捕捉量に対して原水再生で約1/5,純水再生で約1/2量が可逆的に捕捉,脱離iを繰り返した.流出液濃度は純水再生でppbのレベルを得たが,原水再生でも実用性のある値に近い5ppmに達した.

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