日本化学会誌(化学と工業化学)
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填料高含有紙の細孔構造と機械的強度に与える異径粒子の填料混合割合と含有率の影響-シリカSD-8 ,PW-20 混合含有紙-
木下 尊義小田切 昌子豊竹 幸恵勝沢 英夫
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1996 年 1996 巻 1 号 p. 69-75

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抄録
填料(充填材)高含有紙において,異粒子を混合した多機能紙の製作を可能にするため,針葉樹系繊維に2種の粒径の異なるシリカ粒子を混合し,墳料含有紙における填料の混合割合と含有率の影響を研究した。充墳材として用いた墳料シリカ粒子は代表径 9μm (SD-8)および 26.1μm (PW-20)で,これらを乾燥重量 1:3, 1:1 および 3:1 の割合で混合して用いた。填料含有率は約 10~65wt%dry の範囲であった。SD-8,PW-20 混合割合と填料含有率の細孔構造に与える影響は水銀細孔計と走査型電子顕微鏡で,また,引張り・耐折試験により機械的特性を検討した。填料混合試料紙のうち,最大の細孔量は混合割合 75%SD-8,25%PW-20で,かつ,墳料含有率 60wt% の試料紙であった。その細孔量は繊維のみの試料紙の約3.8倍であった。いずれの混合試料紙においても, SD-8 含有率の増加にともない 2μm 以下の細孔の数が多くなった。機械的強度は屓料含有率の増加にともない急速に減少した。特に小径粒子のSD-8混合含有紙の強度低下が著しい。10wt% 程度の低含有率においても耐折強度は大幅に低下し,填料含有率 30wt% で 0 になった。試料紙の含水率は SD-8 混合高含有紙において増加し,PW-20 混合高含有紙においては減少した。吸湿性の大きい填料 SD-8 の混合高含有率は,高湿度において PW-20 より含水率に大きな影響を与えた。
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