抄録
前報では非水系における銅フタロシアニンブルー顔料の界面電位発生機構と安定性への寄与効果について検証した。非水系においても界面への極性低分子物質の吸着が界面電位発生の要因として重要であることを立証できた.しかしながら塗料・インキといつた工業用途では樹脂溶液系であるところから,より複雑な系であると考えられる.そこで,本報では3種類の表面性質の異なる銅フタロシアニソブルー顔料を試料として,樹脂,溶剤との相互作用の結果発生するζ電位を詳細に検討した.その結果,顔料表面への樹脂吸着とζ電位には関連性が見られたものの,吸着量とζ電位の大きさは必ずしも相関性を示しさなかった.またζ電位と分散安定性の関連が低く,樹脂吸者量と分散安定性の強い関連が見られた.この傾向は系における顔料粒子濃度が大きくなるにつれ顕著であった。銅フタロシアニンブルー顔料は誘導体により表面処理することにより樹脂との相互作用が大きく変化することが明らかとなり,工業的な表面処理効果を補足する結果となった。