日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
パラジウム触媒を用いたアリルアルコールによるイミドの N-アリル化反応
曲 景平石村 善正永戸 伸幸
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 1996 巻 6 号 p. 525-529

詳細
抄録

パラジウム-二座配位ビス(ホスフィン)系触媒を用いたアリルアルコールによるイミド化合物の N-アリル化反応を検討した。反応は中性条件下,反応温度 110~140℃ で高収率で進行し,たとえば 1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオンとアリルアルコールからほぼ定量的にトリアリル-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオンが合成できることを見い出した。触媒としては Pd(OAc)2-dppb〔dppb=1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン〕系触媒がもっとも高い触媒活性を示し,また反応はキシレン,トルエンなどの低極性溶媒中でより速やかに進行した。スクシンイミド,フタルイミド,ヒダソトインなど各種のイミド化合物とアリルアルコールの反応でも同様に高収率でN-アリル化生成物が得られた。さらに,種々の置換アリルアルコールとスクシソイミドとの反応も円滑に進行した。本反応はアリルアルコールの酸化的付加により生成するη3-アリルパラジウム錯体を経て進行するものと推定される。

著者関連情報

この記事は最新の被引用情報を取得できません。

© The Chemical Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top