日本化学会誌(化学と工業化学)
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水の吸着による ZSM-5 型鉄シリケート骨格構造中の鉄量の評価
竹田 清志佐野 庸治川上 雄資
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1996 年 1996 巻 8 号 p. 680-686

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抄録

固体高分解能 27AIMAS NMR はゼオライト骨格構造中の Al 量を定量する極めて有効な方法である。しかし,固体高分解能 NMR は必ずしもすべて金属種に対して有効でないため,固体高分解能 NMR によりメタロシリケート骨格構造中の金属量を正確に定量することが困難な場合がある。そのため,メタロシリケート骨格構造中の金属量を正確に定量する新しい方法の開発が望まれている。本研究では,水の吸着による ZSM-5 型鉄シリケート骨格構造中の鉄量の評価について検討した。種々の SiO2/Fe2O3 比の鉄シリケートを合成し,水の吸着等温線を測定した。得られた水の吸着等温線の D-R プロットから,細孔容積 W0(H2O)は骨格構造中の鉄量の増加とともに直線的に増加すること,および鉄シリケートの橋架けヒドロキシ基 Si(OH)Fe(Br=nsted酸点) 1 個当たりの吸着水分子数は約 5.5 個であることが明らかとなった。このことは,水の吸着量から鉄シリケート骨格構造中の鉄量を定量することが可能であることを示している。
また,得られた結果を基に空気中での熱処理(873~1073K)による鉄シリケート骨格構造中からの鉄の脱離挙動について検討した。熱処理後の鉄シリケートの水の吸着から求めた細孔容積 W0(H2O)は熱処理時間とともに減少し,その変化から求めた鉄の脱離速度は骨格構造中の鉄量の二次で見かけ上整理できることが明らかとなった。

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