日本化学会誌(化学と工業化学)
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ポリ[ビス(4-イソプロピルフェノキシ)ホスファゼン]の結晶多形現象
中村 仁小島 盛男増子 徹
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1996 年 1996 巻 8 号 p. 706-713

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抄録

ポリ[ビス(4-イソプロピルフェノキシ)ホスファゼン]-PB(4-Ip)PP の結晶多形現象を, DSC ,広角 X 線回折法,および透過型電子顕微鏡を用いて検討した結果,試料の熱履歴に依存して斜方晶(α -form)と単斜晶(β-form)の結晶相と二次元擬六方晶のメソ相(δ-form)を形成することがわかった。結晶の単位胞パラメーターは,それぞれ a=3,14nm, b=1.14nm, c=0.992nm および, a= 2.45nm,=1 .94nm, c=1.12nm, γ=101.5°である。メソ相における分子鎖問距離は 1.64nm である.α-form b の原試料の DSC 測定では,α → β および β→ δ 転移がそれぞれ 86℃ および 120℃ に観測された。メソ相からの冷却では,冷却速度に依存して 30℃ で,α-form,β-form,もしくは α と β-form の混在したものが得られる。α-fromの試料は再度の加熱により, 83℃ で β-form に転移し, 107℃ で β→ δ 転移が部分的に起こり,そして 137℃ で完全に δ-formとなる.一方,β-formに結晶化した試料は, 135℃ でδ-form に転移する。

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