日本化学会誌(化学と工業化学)
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ゾル-ゲル法により合成したチタン酸鉛前駆体繊維の結晶化に及ぼす触媒の影響
豊田 昌宏
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1997 年 1997 巻 12 号 p. 851-856

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抄録

Pb-Ti複アルコキシド溶液の部分加水分解において,触媒の種類は加水分解および重縮合反応に影響を及ぼし,その結果,種々の繊維形態および異なる結晶化過程を観察した.PbTiO3バルクゲルおよび繊維の加熱中に起こる複雑な過程を議論した.熱分析から,バルクゲルおよびゲル繊維には結晶化温度まで多量の有機物および水が含まれており,酸性条件下で得られたゲルおよび繊維には塩基性条件下で得られたものより多くの水を含んでおり,そして残存している水の分解が結晶化速度に影響を与えていることが推測された.繊維の微構造は,Pb-Ti複アルコキシドの加水分解から得られる重合体構造に依存していた.XRDから,ゲル繊維は600℃ での熱処理によりパイロクロア相から正方晶ペロブスカイト相へ結晶化し,正方晶相の結晶性は触媒の種類により影響を受けることがわかった.

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