日本化学会誌(化学と工業化学)
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ポリチオ尿素構造を固定した活性炭の合成と水銀の選択的吸着能
佐々木 昭夫木村 良晴
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1997 年 1997 巻 12 号 p. 880-886

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抄録

ポリアミンと二硫化炭素の反応をやし殻活性炭の存在下,水分散中で行い,ポリチオ尿素化合物を得た.両出発物質が活性炭にまず吸着されてから反応が進行し,ポリチオ尿素が活性炭上に強固に固定化されることを見いだした.得られた固定化ポリチオ尿素は優れた水銀イオン吸着能を有することを認めた.水銀吸着能はポリアミンの分子量が1800,活性炭への固定化率が11.8%のとき最もよく,それ以上固定化すると急激に減少することがわかった.固定化率と比表面積は逆の相関性があるが,この固定化率を越えると比表面積が急激に減少した.
固定化ポリチオ尿素をカラムに詰めて10ppmの水銀水溶液を固定化物の5倍容量/時間で連続通液すると,10時間で法定基準値5ppbを越えた.このときの水銀吸着量は0,6molL-1(固定化物)であり,優れた水銀吸着能を有することが確認された.

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