日本化学会誌(化学と工業化学)
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アクリジンとナトリウムアミドの溶融反応
北原 滝男石原 良美高野 二郎
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1997 年 1997 巻 12 号 p. 876-879

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抄録

一般にChichibabin反応は溶媒存在下で行われているが,本反応は溶媒を使用せずにアクリジンのChichibabin反応を行った.アクリジンとナトリウムアミドの混合物を130℃ 以上で溶融反応すると,9-アミノアクリジンと9,9',10,10'-テトラヒドロ-9,9'-ビアクリジンが等量得られた.9-アミノアクリジンは反応系が溶融している数分間にのみ生成し,9,9',10,10'-テトラヒドロ-9,9'-ビアクリジンは反応系が固化し始めた直後から生成した.本反応は第一にアクリジンのChichibabin反応によって9-アミノアクリジンと水素化ナトリウムが生成し,第二に未反応のアクリジンが水素化ナトリウムに還元されて9,9',10,10'-テトラヒドロ-9,9'-ビアクリジンを生成した.本反応は反応系に二つの反応機構が存在し,第一のChichibabin反応が第二のアクリジンの還元反応を調整している,アクリジンの特異的な溶融反応である.

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