日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
コバルトテトラフエニルポルフィリンおよびコバルトサレン錯体におけるNO吸着およびNO接触分解特性
宮本 誠花里 善夫
著者情報
ジャーナル フリー

1998 年 1998 巻 5 号 p. 338-345

詳細
抄録
金属錯体によるNO接触分解の可能性を検討するために, MTPP(M = Co (II) , Cr (III) , Zn (II), Ag (II), Ru (II) ;H2TPP=5, 10, 15, 20-tetraphenylporphyrin) およびCo(salen) (H2salen=N, N'-disalicylideneethylenediamine) に対するNO吸着特性を評価するとともに, NO吸着特性に優れていたCoTPP, Co(salen)を用いた酸素存在下でのNO接触分解の初期検討を行った. CoTPP, Co(salen)へのNO吸着は, (1) 低NO濃度 (1024ppm以下) では, 中心金属部に2種類のNO- (CoTPP: 1680cm-1, 1695cm-1), (Co (salen) : 1633cm-1, 1644cm-1) が単分子状態で吸着し, Co(salen) の方が低波数シフトが大きかった. (2) CoTPPでは, 1680cm-1, 1695cm-1の順に吸着を起こしやすく, さらに高濃度 (1%, 5%) では,1680cm-1のNO-種が吸着した中心金属間を新たなNOで架橋した構造をとるbridgingNO (1528cm-1) を形成した. (3) Cosalenでは, 低NO濃度 (1024ppm) において, bridgingNOがみられた.
CoTPPおよびCo (salen) をそれぞれ, 多孔質がラスに担持させた触媒によるNO接触分解では, Co (salen) のほうが分解特性が良く, NO: 300ppm,O2: 0.9%, 190℃, フロー式 (反応器内滞留時間: 約14分) 反応において, 最大約84%の接触分解がみられた. これは, NO分子への電荷移動度の大きさ, 酸素分子との選択性, 中心金属へのNO分子の複数吸着能の高さに起因すると結論した.
著者関連情報

この記事は最新の被引用情報を取得できません。

© The Chemical Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top