1999 年 1999 巻 4 号 p. 261-265
アクリロニトリルーブタジエンースチレン共重合体(以下,ABS樹脂と略す)にシリコーン油を添加し,その衝撃強度の影響について研究した.シリコーン油としては,ポリ(ジメチルシロキサン)(分子量104)を用い,樹脂に対してO-O.1wt%の範囲で添加した.その結果,グラフト密度が低い場合には,無添加の樹脂の場合とほぼ同一であつたが,グラフト密度が高くなると,衝撃強度は無添加の場合よりも大きく変化した.このように,シリコーン油添加によるABS樹脂の衝撃強度への影響は,グラフト構造に大きく依存しているが,シリコーン油はABS樹脂のゴム相に近い部分に存在して界面接着に作用し,クレーズ発生に大きく関与していることが明らかとなつた。
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