日本化学会誌(化学と工業化学)
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トリオキサンとエチレンオキシドとの直接反応による新規環状ホルマール,1,3,5,7,lO,13-ヘキサオキサシクロペンタデカンの生成
山崎 有亮正本 順三大西 宣昭永原 肇
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1999 年 1999 巻 6 号 p. 407-413

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抄録
1mo1のトリオキサンと3molのエチレンオキシドとが直接反応してできた新規な環状化合物である1,3,5,7,10,13-ヘキサオキサシクロペンタデカン(HOCP)を合成した。この新規環状化合物をミクロ蒸留器およびガスクロマトグラフィーにより単離し,その化学構造を1H-NMR,13C-NMR,質量分析および微量元素分析などの分析法により決定した。このHOCPの生成は臨界的であった.エチレンオキシドとトリオキサンのモル比が0.026以下の場合には1molのトリオキサンと1molのエチレンオキシドとの反応生成物である1,3,5,7-テトラオキサシクロノナン(TOCN)のみが生成した。エチレンオキシドとトリオキサンのモル比が0.033となるとToCNのほかに1molのトリオキサンと2mo1のエチレンオキシドとの反応生成物である1,3,5,7,10-ペンタオキサシクロドデカン(POCD)が生成した.エチレンオキシドとトリオキサンのモル比が0.039となるとTOCN,POCDのほかにHOCPが生成した。工業的に生産されるトリオキサンとエチレンオキシドの共重合体(アセタールコポリマー)には,3個のオキシエチレン単位の連続配列の存在が知られているが,この連続した配列はHOCPの開環重合により生成するものと考えられる.トリオキサンとエチレンオキシドとの直接反応は新しいタイプのクラウンエーテルの新しい合成法の可能性を提供するものと思われる。
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