2011 年 13 巻 1 号 p. 15-21
アパシーは意欲や自発性の低下であり、脳卒中、パーキンソン病、アルツハイマー病等多くの中枢神経疾患において高頻度に出現する、重要な情動行動異常の一つである。アパシーの出現は報酬関連神経回路の障害と関連しており、中脳腹側被蓋部から腹側線条体 (側坐核)や辺縁系、帯状回等に投射するドパミン作動神経が中心的役割を果たしている。神経生理学的にはフィードバック関連陰性電位や新奇刺激 P3 電位がアパシーの病態把握に有用である可能性がある。またアパシーの治療に、ドパミンやアセチルコリン作動薬の有効性が期待される。