認知神経科学
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シンポジウム『コミュニケーション障害』
視線と表情の認知について
加藤 元一郎
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2011 年 13 巻 1 号 p. 43-50

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抄録

他者の顔を見る時、我々は、その顔の個人の弁別や同定、表情の認知、そして視線方向の検出を行う。また他者の視線については、人はその動きから情動的な信号を得るだけでなく、それに対して意図や志向性があることを推測する。このような社会的な信号の知覚、認知、判断、推論に関与する脳領域としては、紡錘状回、扁桃体、上側頭回・溝領域、前頭葉外側部および内側部、そして、前頭葉眼窩野が重要である。本稿では、特に視線と扁桃体および上側頭回・溝領域に関する神経心理学的な知見を紹介する。視線による注意の誘導に関して、扁桃体(意識下の処理を含む迅速な認知)および上側頭回・溝領域(意図の理解につながるより繊細かつ詳細な認知)は共同して、他者の視線方向の評価に関与しているものと考えられた。

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