認知神経科学
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教育講演
認知症と睡眠障害
井上 雄一
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2015 年 17 巻 1 号 p. 26-31

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抄録

【要旨】高齢者層においては、睡眠障害の頻度があり高いが、認知症性疾患ではその頻度はさらに一層高くなる。各認知症性疾患で、睡眠の浅化・分断が認められる点は共通しているが、アルツハイマー型認知症では睡眠覚醒リズムが不規則化しやすい点、レビー小体型認知症ではREM睡眠期の筋緊張抑制が失われて夜間REM睡眠期に行動異常を生じやすくなる点が異なっている。不眠症状の抑制は、認知症の発症予防・進行抑制に貢献すると考えられるが、安易な睡眠薬の使用はせん妄発現、転倒による骨折リスクの増加に加えて認知症状を顕在化させることもあるので、慎重を期したい。高齢者は高頻度に閉塞性睡眠時無呼吸症候群を有するが、本症候群重症例では脳血管障害リスクを高めるだけでなく、前頭前野の機能低下、および認知症状進行リスク要因になりうるので、治療的な対応を図ることが必要である。

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© 2015 認知神経科学会
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