抄録
目的:ペプシノゲンⅠおよびⅡ(PGⅠおよびPGⅡ)は胃の活動状態をよく反映し,PGⅠ,PGⅡおよびPGⅠ/PGⅡ比を単独または組合せることで,消化性潰瘍,萎縮性胃炎,胃癌高危険群のスクリーニングなどの指標として注目され,人間ドックなど健診において有用性が高く測定件数も増えている.今回,ラテックス比濁免疫法を原理とする「サイアス ラテックス PGⅠ」および「同 PGⅡ」の基礎的性能の評価および健診現場における有用性の検討を行ったので報告する.
材料と方法:当センターで職域健診の検査を終えた678検体を対象に,TBA-c8000形自動分析装置を用いて行った.
結果:本試薬の基本性能評価は良好であった.臨床的評価では,化学発光法および本試薬の陽性率は12.6%および8.0%,一致率は95.1%,不一致例の96.9%が化学発光法で陽性,本試薬で陰性であった.不一致51例の胃上部消化管造影又は胃内視鏡の診断所見とそれぞれの測定試薬との一致率は化学発光法で56.9%,本試薬で68.6%であった.年齢と陽性率の関係は,49歳以下では3%以下,50歳以上では11%以上となり,加齢による陽性率の増加を認めた.
結語:本試薬は良好な分析精度と正確性を有し,汎用自動分析装置に適応可能なため,人間ドックや健診でのPG測定に有用性が高いことが示唆された.