人間ドック (Ningen Dock)
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原著
当院で実施した特定保健指導の成績 ー腹囲の変化に影響する生活習慣の解析ー
上林 奈津池 葉子奥山 幸子中村 さとみ中根 薫坂口 真恵山岸 宏尚坂倉 三恵子向井 幹夫古賀 正史
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2009 年 24 巻 4 号 p. 891-895

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抄録

目的:保健指導による腹囲の低下は生活習慣の行動変容に対して適切な支援を行うことにより達成できると考えられている.今回,当院で実施した特定保健指導受講者を対象に腹囲の変化および低下後のリバウンドに関与する生活習慣に関して検討した.
対象と方法:平成21年度に6ヵ月間の保健指導が終了した303名(積極的支援170名,動機付け支援133名)を対象とした.保健指導前および指導3ヵ月後(積極的支援者のみ),6ヵ月後に腹囲,体重および行動変容スコア(食事・運動・飲酒・喫煙)の調査を行った.
成績:6ヵ月間の保健指導により腹囲は全体で有意な低下を認めたが,積極的支援者の3.8±3.8%の低下率は動機付け支援者の2.4±4.1%に比し有意な低下が見られた.行動変容スコアと腹囲低下率の間に有意に負の相関を認めた.また,腹囲低下と有意な相関を認めた生活習慣の変化は食事,運動で飲酒,喫煙習慣の変化は腹囲の変化に影響しなかった.指導開始3ヵ月後の積極的支援者は100名(59%)が2%以上の腹囲の低下が見られた.これらの低下例のうち後半3ヵ月で27%はさらに2%以上の腹囲の低下を認めたが,16%は2%以上の腹囲の増加を来した.前半に腹囲低下を認めた100名において,後半の腹囲の変化は運動習慣の変化と有意な相関が見られなかったが,食事習慣の変化とは有意な相関を認めた.
結語:6ヵ月間の腹囲の低下の程度は食事習慣および運動習慣の改善と相関した.一方,食事習慣の悪化が腹囲低下後のリバウンドを来すと考えられた.

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© 2009 公益社団法人 日本人間ドック学会
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