人間ドック (Ningen Dock)
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原著
健診例におけるNonalcoholic Fatty Liver Diseaseと血清 γ-glutamyltransferaseの関係について
矢島 義昭後藤 和弘石井 秀和杉田 貴子佐藤 武敏戸塚 真弓高橋 哲二黒澤 功
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キーワード: γ-GTP, NAFLD, 超音波診断, 健診
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2013 年 27 巻 5 号 p. 837-842

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抄録
目的:γ-glutamyltransferase(GGT)はアルコール性肝障害,胆道系疾患の評価において有用とされてきたが,疫学の分野では肥満とGGTの密接な関係も指摘されていた.近年ではGGT上昇が心血管死の危険因子となることが報告されている.一方でnonalcoholic fatty liver disease(NAFLD)は冠動脈疾患の発生に関連していることが知られている.そこで今回は健診において超音波検査で診断されたNAFLDとGGTの関係について検討した.
対象と方法:当院の2009年度の健診者17,069名より無作為に1,000名を抽出した.用いた超音波装置は東芝のXarioTM XGで,5名の検査技師が撮影した静止画像を1人の超音波専門医が最終的に判定した.脂肪肝の超音波診断は我々の基準に従った.
結果:NAFLDにおいては脂肪化の程度が増すとGGTも有意に高値を示し,かつGGT値はALT値とr = 0.562(p<0.001)とよい相関を示した.NAFLDの76.8%はGGT正常範囲(GGT≦50 IU/L)であったが両者の相関はGGT正常範囲内までも及んでいた.また原因不明のGGT単独上昇例(ALT≦30 IU/L)が1.4%に認められた.
結論:健診例においてもNAFLDとGGTは密接に関係し,かつ両者の相関はGGT正常範囲内までも及んでいた.また未知のGGT上昇機序が存在することが推定された.
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© 2013 公益社団法人 日本人間ドック学会
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