人間ドック (Ningen Dock)
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原著
人間ドック受診者において本態性高血圧に呼吸機能低下が及ぼす影響について
天川 和久荒瀬 康司大本 由樹辻 裕之有元 佐多雄小川 恭子加藤 久人神野 豊久有賀 明子
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2015 年 29 巻 5 号 p. 702-707

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抄録

目的:呼吸機能低下と心血管系疾患の関連は以前より報告があるが,原因の詳細は明らかではない.今回,人間ドック受診者の呼吸機能低下と高血圧の関連について経年的に検討した.
方法:1997年に当センターで人間ドックを受診し,高血圧がなく1998年から2006年までに最低1回は人間ドックを再受診した男性2,643例を対象とし,2006年までに高血圧が生じたかどうかを目的変数,1997年の各因子を説明変数とし検討した.高血圧の基準は収縮期血圧140 mmHg 以上か拡張期血圧90 mmHg以上,あるいは降圧剤を投与されている例を高血圧ありとした.因子は年齢(50歳未満と以上),BMI(23未満と以上),正常高値血圧の有無,脂質異常の有無(中性脂肪150 mg/dL以上かHDL-C 40未満かnon-HDL-C150 mg/dL以上,あるいは高脂血症治療薬を投与されている例を異常あり),糖尿病の有無(空腹時血糖126mg/dL以上か糖尿病治療薬を投与されている例をあり),飲酒歴の有無(週ビール6本相当以上をあり),喫煙歴の有無(喫煙経験者をあり),%1秒量(%FEV1:98以上と未満)とし,ロジスティックモデルを用いた単変量および多変量解析を行いp<0.05を有意差ありとした.
成績:高血圧が生じたのは422例(16.0%)だった.高血圧発症に寄与する要因は単変量解析で年齢,BMI,正常高値血圧,脂質異常,糖尿病,喫煙歴,%FEV1に有意差が認められ,多変量解析で年齢,BMI,正常高値血圧,%FEV1に有意差が認められた.
結論:呼吸機能低下が高血圧に関与する可能性が示唆された.

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© 2015 公益社団法人 日本人間ドック学会
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