2017 年 32 巻 3 号 p. 469-475
目的:高濃度乳腺では,マンモグラフィ(MG)による病変の検出感度が低いため超音波検査(US)の併用により有効な検診が行えることが期待されている.今回,我々は乳腺濃度に着目しUS併用による検診成績について検討した.
方法:2013年1月から2014年12月にMG・US併用検診で総合判定を行った6,603名を対象に,高濃度乳腺群(高濃度・不均一高濃度乳腺)と非高濃度乳腺群(乳腺散在・脂肪性乳腺)の2群に分け,がん発見数(率),要精査数(率),陽性反応的中度について検討した.
結果:対象6,603名のうち高濃度乳腺は3,492名(52.9%),非高濃度乳腺は3,111名(47.1%)であった.高濃度乳腺ではMG単独検診と仮定した場合のがん発見数(率)は12病変(0.34%)であったが,USを併用すると20病変(0.57%)に増加した.一方,非高濃度乳腺ではMG単独のがん発見数(率)は11病変(0.35%)でUSを併用しても13病変(0.42%)と増加はわずかであった.また,全体の要精査数(率)は,総合判定前は539名(8.2%)であったが,総合判定後は454名(6.9%)に減った.しかし,陽性反応的中度は総合判定後においてもMG単独と比較して低下していた(8.13%→7.27%).これは乳腺濃度別に検討しても同様の結果であった.
結論:特に高濃度乳腺に対してはUSを併用することでがん発見率を上昇させ,より効率的な乳がん検診を提供できる可能性が示唆された.しかしながら,総合判定で不要な精査数をできるだけ減らし,陽性反応的中度を上げることが今後の課題と思われた.