抄録
目的:がん患者と健常人の血漿中アミノ酸濃度を統計解析し,がん罹患の確率を評価するアミノインデックス®がんリスクスクリーニング(AICS®)は,7種のがん検査として実用化されている.本報では,AICS経年変動と経年受診によりランクCに変動した受診者からのがん発見症例について検討した.
方法:三井記念病院におけるAICS 2回受診者216例(男性115例,女性101例),3回受診者139例(男性81例,女性58例)(平均受診間隔1.0±0.1年)のランク変動と,経年受診によりランクCに変動した受診者からのがん発見事例を検討した.
結果:経年受診でランクA→C,B→C,C→Cの変動割合は,AICS(肺):0.5%,3.7%,2.8%,AICS(胃):6.9%,5.1%,4.6%,AICS(大腸):6.0%,1.9%,0.9%,AICS(前立腺):4.3%,8.7%,11.3%,AICS(乳腺):2.0%,3.0%,4.0%,AICS(子宮・卵巣):2.3%,1.1%,0%であった.2回受診者中,AICS(胃)がB→Cに変動した受診者から胃がん2例,AICS(乳腺)がC→Cに変動した受診者から乳がん1例,AICS(大腸)がA→Cに変動した受診者からGIST1例が発見された.また3回受診者中,AICS(前立腺)がA→B→Cに変動した受診者から前立腺がん1例,AICS(乳腺)がA→A→Cに変動した受診者から乳がん1例が発見された.がん発見率は1.7%であった.
結論:AICSが経年的にランクCへ変動する割合は低率であったが,ランクCへの変動から各種のがんが早期に発見されたことは,AICSの経年的受診の有用性を推察させた.